いま一番いい「新しい場所」を「お客さんと一緒に作る」
今回は今までと全く違う新しいMDT Festivalを作ろうとしています。
2022年7月23日に多摩あきがわライブフォレストで開催される「ROVO」主催「MDTフォレスト」。「ROVO」と「OGRE YOU ASSHOLE」は 2017年MDT Festival以来、5年ぶりの共演となります。
新たなMDTの開催にあたってのROVOからの想いや、OGRE YOU ASSHOLEに声をかけた経緯。またあきる野ライブフォレストのような野外会場では久しぶりのステージとなるOGRE YOU ASSHOLEの意気込みとは。
ROVOの勝井祐二さんと、OGRE YOU ASSHOLEの出戸学さんにその心中を聞きました。聞き手は前回に引き続き、「フェスおじさん」こと菊地崇さんです。
左から勝井祐二(ROVO)、出戸学(OGRE YOU ASSHOLE)、菊地崇(インタビュアー)
文:野呂瀬亮
OGRE YOU ASSHOLEは常にROVOが意識している存在
MDTへの出演から踊り出したOGRE YOU ASSHOLEのオーディエンス
菊地 今回新たなMDTにあたってOGRE YOU ASSHOLEに声をかけたのは?
勝井 2012年アラバキで初めてライブを観て、その後「ロープ」のライブの動画をみて改めて「格好良い!」 と思って2013年の野音に出て貰ったんです。その時の演奏が本当に素晴らしくて、それ以来対バンを考える時はいつも一緒にやりたいと思う存在なんです。今回新しいチャレンジをやろうと思った時、やはり最初にOGRE YOU ASSHOLEに声をかけようと思いました。
出戸 僕たちは、MDT Festival 2013に初出演した時からお客さんたちがライブで踊り出したと思っていて、きっかけはROVOのお客さんなんですね。それ以降、ダンスやサイケというイメージも膨らんできたと思うんです。
だから今回も声をかけてもらってとても嬉しくて、二つ返事ですぐ出演を決めました。
僕のROVOの最初のライブはたぶん大学生の時で2005年ぐらい。名古屋でメチャクチャ格好良くて衝撃でした。その時からすると、今のようにMDTに呼んでもらえるのが本当に驚きです。
久しぶりの野外ライブになるOGRE YOU ASSHOLE
MDTだからこそのお客さんを意識するライブに
菊地 OGRE YOU ASSHOLEは去年一昨年ってフェスの出演はありました?
出戸 出ていないですね。だから今回のMDT FOREST 2022が久々の野外でとても楽しみにしています。
菊地 今回野外で演奏するのに何か意識してることはありますか?
勝井 少し前からなんですけれど、曲の中で即興のパートを大幅に増やして、今までとはアレンジも変えています。今回はMDT FORESTなので、森の中という環境をイメージした構成になるかもしれません。
出戸 僕は観にきてくれる人たちが「MDTのお客さん」ということを強く意識してますね。前回の野音でもとにかくみんな踊りまくっていて、ROVOの音楽を聴くとみんなタガが外れちゃうじゃないですか(笑)。
菊地 野音のMDTが2003年に始まってどのように今のMDTのファンが育っていったんでしょうね?
勝井 野外でのROVOのライブのファンというのは、MDTの毎年の開催で自然に育っていったと感じています。野音でROVOを中心にしたライブを野外フェスのように楽しめる、開放的で自由な年に一度のお祭りですよね。野音の売店の人に聞いたんですけど、ROVOのMDTの日のビールの売り上げは毎年ダントツに一番だそうです。
今回のMDTは全く新しいもの
マヒトゥ・ザ・ピーポーも一緒に
菊地 今回の開催ではお酒も飲めるようになりますね。コロナの中での制限はありますが、素晴らしい自然のど真ん中で、さらに開放的で自由なMDTに期待しています。
勝井 今回は今までとは違う新しいMDT Festivalを作ろうとしています。今回は今の状況も踏まえてお酒は3杯までとしますけど、森の中の環境での開放感を感じられる場になると思います。
菊地 OGRE YOU ASSHOLEにはどんなステージを期待していますか?
勝井 やりたいようにやってもらいたいですね。マヒトゥ・ザ・ピーポーも今回ソロ出演してくれるということで、もうとにかく楽しみにしていますね。
出戸 緊張しますよねROVOの前って(笑)。
コロナ禍の中での活動とバンドのあり方と
その中で出会ったMDT FORESTの会場
菊地 コロナ禍の中でのそれぞれの活動はどんな状況だったのでしょうね
出戸 ライブはまったく減ってしまって、週2回練習していたのも大幅に減って、リモート練習もしてみましたがどうにも面白くなかったですね。ただその分たまにメンバー揃って音を鳴らせるのは本当に大きな喜びでした。
勝井 週2回も練習していたこと自体がすごいですね(笑) 僕たちROVOは練習の回数少ないですよ。大体はライブの前日と、新曲や新しい企画の時に2~3日集中してやる。それも年に1~2回あるかどうかですね。
菊地 ROVOはメンバーが結成以前からそれぞれで音楽活動してますからね。各自のあり方がライブの瞬間でまとまって化学反応が起きているように感じますよね。
出戸 OGRE YOU ASSHOLEのメンバーはオウガ以外のバンドの活動はないんですよね。ギターの馬淵は高校の同級生、ドラムの勝浦は地元で通ってたライブハウスの先輩、基本的に長野の仲間でずっとやってきたんです
菊地 メンバーのあり方も、ROVOとOGRE YOU ASSHOLEは対照的で面白いですね(笑)。そんなバンドの関係性からコロナと向きあいながら、どう進んでいったんでしょうか?
出戸 ライブがない中でアイデンティティーを失いそうになる感覚がありました。家でひたすら楽器弾いているだけ だと、ただ楽器を弾いてるおじさん以上でも以下でもないという感じで、かつてミュージシャンとかアーティストと言われてたなーという感じになりました。
勝井 ステイホームの時は家の中で、手慣らしでエレクトリックバイオリンを生で弾いてみたんですけど、5分と集中できませんでした。つまらなくて(笑)。その後はアコースティックバイオリンで練習するようになりました。そんな時に今回のサポーターでもあるアースガーデンの南兵衛さんに誘われて2カ月ぶりぐらいに車に乗って今回の会場に行ったんです。それで5月に配信をやろうという話になって、本当に久々に「人と一緒に演奏するのってこんなに楽しいんだ。」と思いました。長年のキャリアの中での再認識でしたね。会場の森と川の気持ち良さも心に残りました。
いま一番いい「新しい場所」を「お客さんと一緒に作る」
清流が流れるステージ、ぎゅっと凝縮された森と山の姿
菊地 最後に、今回のMDT FOREST 2022ではどんな場作りをしていくのでしょう?
勝井 まず会場が素晴らしくて、星が近くて、ステージ裏には清流が流れていて。「ここ東京なの?」って思うぐらい自然豊かな場所です。それは出戸君の住んでいる長野県原村にも共通すると思います。
菊地 森と山がぎゅっと凝縮された、開放的な原村とはまた違った会場ですよね。
勝井 これまでとは違う環境で、2022年に作れる一番良いクオリティの「新しい場所」を目指したい。今回はお客さんと「一緒に作っていく」ということを強く意識しているんです。
菊地 みんなで新しいことをやろうというポジティブな姿勢ですよね。
勝井 そうですね。そもそも今年野音でMDTをやろうとしても、2019年以前のようにはできないんです。そんな中で、クオリティの高い場所をお客さんと一緒に作れるのが今回のMDT FORESTだと思っています。
新宿から約60分の大自然の中、
キャンパー向けの勝井ソロライブも
勝井 これも新しい試みで、ROVOのライブ後にキャンプサイトを利用する人に向けて、僕のソロライブを行います。これまでとは全く違った「新しい場所」の誕生にぜひ立ち会ってもらえたら嬉しいですね。
出戸 そんな記念すべきタイミングに立ち会えて本当に嬉しいです。とにかく頑張ります!
菊地 お二人ともMDT FOREST 2022本当に楽しみにしています!今日はありがとうございました!