フィリピンの台風復興支援に積極的に取り組む、ココナッツオイルの専門店「ココウェル」から、支援活動報告が届きました。
台風で倒れたココナッツの木を材料にした新ブランド「COCO no Ki(ココノキ)」も立ち上がり、ココナッツとフィリピン台風支援の優しい関係がうかがえます。
ここから下が、報告となります。
台風復興支援基金への多大なるご支援誠にありがとうございました。
2013年11月8日にフィリピンを襲った大型台風「ハイエン(フィリピン名:ヨランダ)」は、レイテ島やサマール島など多くの島々で1,400万人以上が被災し、約400万人が家を失うなど、歴史上まれに見る大災害となりました。
災害発生直後、私たちはまず現状把握に努めましたが、その中で災害規模があまりにも大きいことが判明するにつれ、自分たちだけでなく支援の輪を広める必要があると考えました。発生した直後は被災地の交通手段等も混乱しており、すぐにフィリピンに渡るのは迷惑がかかると思い、まずは支援の輪を広げるべく11月12日に支援基金を立ち上げました。支援の輪は瞬く間に広まり、基金も最終的に2,378,642円をお預りするまでになりました。
お預かりしました寄付金は大きく分けて「食糧支援」「医療支援」「子ども服送付」「追悼イベント」「雇用創出活動」に活用させていただきました。
食料支援
災害発生直後はとにかく食料が必要ということもあり、まず食料を届けることにしました。2013年11月22日にココウェル代表・水井がフィリピンに渡り、レイテ島から西に少し離れたネグロス島のマニピスに住む人々とチームを組みました。マニピスは2011年に台風被害を受けた時、レイテ島の人々に支援してもらった経緯があったので、今度は自分たちが恩返しする番だと、自分たちのお金や米、衣服などを集めて支援したいと考えていました。
ネグロス島からレイテ島へは船で向かいました。船中にて、隣の席に座った若者と話しました。彼はレイテ島出身で、実家の危機を救うべく帰郷しているとのこと。30歳くらいの青年でしたが、その目は使命感に溢れていました。これが後にココウェルのココナッツ雑貨ブランド「COCO no Ki」の生産者となるフランシスとの出会いでした。
11月の支援活動では合計2,180世帯それぞれにお米3キロ、肉の缶詰3缶、魚の缶詰3缶、マッチ5箱を配布しました。またオルモックの避難所では発電機を使った映画上映会も行いました。
また2014年1月13日にも食料支援に向かいました。この時は前回の渡航中に出会ったフランシスと共に支援活動を行いました。彼は自身が被災者でもあり、自宅は倒壊し、多くのものを失いました。しかし彼は自分の家族や自分の住む町を優先することなく広い視野で、どこで何が必要とされているかを事前に調査してくれていました。2か月前とでは必要とされる物資が変化しており、2回目の活動では合計1,065世帯それぞれに肉の缶詰3缶、即席めん3個、粉ミルク320g、インスタントコーヒー75g、子供用ビスケット6袋、殺菌石鹸2個を届けました。
多くのフィリピン人が東日本大震災の時、日本人同士の「絆」に感動したそうです。しかし今回フィリピンの人々と支援活動を共にして、逆に感動させられました。
医療支援
今回の災害においては、非常に多くの団体・個人の方々が復興支援活動に参加されていました。救援団体Visayas Response Team(VRT)もそのうちの一つで、VRTさんの医療支援活動に寄付金をお預け致しました。
2013年12月13日から16日にかけて、タクロバン市・サンホセ地区にて様々な支援活動が行われました。医療支援活動としては診察やビタミン剤等の薬の配布、破傷風の予防接種が行われました。大人100名以上及び子どもたちが診察を受けましたが、多くが風邪やビタミン不足の症状に苦しんでいました。災害直後と異なり、怪我等の患者さんは非常に少なかったです。
子ども服送付
支援活動を進める中で、現地の子供たちの衣服が不足していることが分かりました。そこでココウェルのホームページ等で古着の子ども服を現地に送る活動を始めました。
毎日のように届く子ども服の段ボールで事務所が埋まるほどになり、皆様のご厚意の深さに改めて胸を打たれました。最終的に180を超える個人様・団体様よりご送付をいただきました。寄付金の一部は子ども服をフィリピンに送付する運賃に活用させていただきました。
追悼イベント
大型台風ハイエン発生からちょうど1年後の2014年11月8日、台風の辛く厳しかった経験を共有し、明日への一歩を踏み出すことを目的に「Estorya Festival(ストーリーフェスティバル)」がレイテ州パロ市で開催されました。その中で行われたキャンドルナイト企画「竹あかり」の運営資金として寄付金を活用させていただきました。
雇用創出活動
復興に必要なものは時間の経過とともに変化していきます。災害直後は食料が最も重要でしたが、長期的に考えると職を失った方々の就業支援が重要になります。ココナッツ専業の会社として何ができるかを考えました。そして出した結論が「台風で倒れたココナッツの木を材料に、現地の方々に雑貨を作っていただくこと」でした。ココナッツ木材やチェーンソー、木材乾燥機、削るための旋盤、穴あけドリル等を無償提供し、保管倉庫を建て、加工技術を伝え、少しずつ生産を進めていきました。フィリピンの方々は元々手先が器用と言われますが、2015年8月にココウェルスタッフが研修旅行で工房を訪れた際、職人さんの技術の進歩に舌を巻きました。
2014年11月にはココナッツ雑貨の新ブランド「COCO no Ki(ココノキ)」を立ち上げ、箸やスプーン等の食器の販売を少しずつ始めました。
台風復興支援基金の募集は終了させていただきました。皆様、多大なるご支援誠にありがとうございました。
台風復興支援基金最終収支報告
収入の部
寄付金 | 2,378,642円 |
ココウェル直接支援 | 1,000,000円 |
ココウェルWCFP ※1 | 1,288,771円 |
収入計 | 4,667,413円 |
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支出の部
食料支援活動 | 1,540,937円 |
医療支援活動 | 200,000円 |
子ども服送付 | 188,500円 |
追悼イベント | 150,000円 |
雇用創出活動 | 2,130,479円 |
剰余金 | 457,497円 |
支出計 | 4,667,413円 |
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※1 WCFP
With Coco Farmer Projectの略。商品を1個ご購入ごとに3ペソ(約8円)を積み立て、貧しいココナッツ農家さんの支援に活用するプロジェクト。2010年10月に開始し、ミンドロ島の生産者さんの支援等に基金を活用していましたが、台風災害発生後は基金の一部を台風復興支援に活用させていただきました。
http://www.cocowell.co.jp/