小名浜がアツイ!!福島県いわき市でフェアトレードコーヒーを販売する「ethicafe」末永早夏さんインタビュー

 

福島県いわき市でフェアトレードコーヒーを販売する「株式会社ethicafe」を経営している、末永早夏さん。

末永さんのご実家は、津波で甚大な被害を受けた福島県・小名浜。フェアトレードを通して、世界の貧困問題と向き合ってきた彼女が、3月11日の大震災によって“被災者”となった今、災とどう向き合い、どんなことに取り組んでいるのかを知りたくて、お話を聞かせていただきました。

 

――震災後、すぐにボランティアを始められたんですか?

原発が爆発した後は東京の兄の家に避難していたんです。
東京で現地の情報を探っていたら、身近な人が、物資が足りないって言い始めて。
自分の車に積めるだけ積めて帰ろうと思ったんですね。
でも、自分のお金も限界があるし、そのころ東京も物がなかった。
それでtwitterでつぶやいてみたら、2㌧トラック1台分も集まったですよ。
とりあえずいわきに持って帰ったんですけど、
こんなにたくさん集まったから、責任もって配らなきゃと思ったんですね。
そしたらありがたく倉庫が借りられて、
twitterで呼びかけたら若者が集まってくれて、みんなで仕分けをして。

その後も、毎日毎日たくさんの物資が届くんですよ。
だから毎日倉庫に行って、集まってくれた人と作業をしていました。
そのころ、何かやっている人たちのことを「がんばっぺ隊」と呼んでたみたいなんですけど、
わたしたちは小名浜でやってるから「小名浜がんばっぺ隊」。誰が最初に言ったのかは分からないですけど。

 

震災後1ヵ月くらいしたら、街のスーパーが開き始めました。
休んでいた会社も再開し始めて、
ボランティアに来てくれた人の中にも仕事に戻る人が出てきました。
でも、そういう人たちがみんな、「申し訳ない」と言うんです。
全然申し訳なくなんかないし、そんなふうに思ってほしくなかった。
いつか打ち切ろうと思っていたので、いまかな、と思いました。

同じくらいのタイミングで、
倉庫を貸してくださっていたNPOの方が、
一緒にボランティアセンターを立ち上げましょうと言ってくれて。
「ボランティアセンターってなに?」というところから、手探りで作り始めて、
2週間くらいで、システムを作りました。
最初は10~20人でしたが、GW中は1日150~180人くらい、全国から集まってくれました。

小名浜ボランティアセンターHP

――その後musubuさんが結成されたんですね。

「がんばっぺ隊」で出会った人たちと、「musubu」を立ち上げました。
復興を短期的に終わらせないで、長期的に考えていきたくて。
だから敢えて「復旧」「復興支援」じゃなくて、「地域活性プロジェクト」にして、
長期的なところまで考えていこうって。

 

 

――福島が「フクシマ」となって世界に知られてしまったことをどう思われますか?

そういうことなんだな、と客観的に思いつつ、
こんなことがなければ世界が福島を知ることはなかったので、
こうなってしまった以上、それを利用して、
その福島だって、外に発信していければいいなと思ってるんです。

例えば、こないだmusubuでタンブレリのイベントをやったんですけど。
タンブレリって新しいスポーツなんですね。
福島でチームを作ってヨーロッパ選手権に日本代表で出るとか、考えてて。
敢えて「フクシマ」で!とかね。全然、まだ考えてるだけですけどね。

――すっごくポジティブですね!

乗っかるしかないですよ~
原発の問題でネガティブになってる福島は世界中に広まったから、
「あの福島が」になればいいな。
musubuでもethicafeでもなんでもいいんですよ。
そういう意味で、ラッキーだなって思うんです。
なにをやっても注目されるから。

福島は、今日また原発が何かあって、
明日避難しなきゃいけないかもしれない。
それくらい、将来的な保証がない生活をしなきゃいけなくて、
そういうストレスはどこかにあるんです。
でも、こんだけの震災があったら、
なんでも好きなことしなきゃ、今やんなきゃいつやる!みたいな気持ちになれた。
二の足踏んでる時間はないんだって分かったんですよね。
思い切りがついた人もいるんじゃないかと思う。

 

末永さんはいつも、「いま、どうするべきか?」
をきちんと見据えているように感じました。
それでいて、力んでいない。

「全然、すごいことなんてしてないんですよ」

無駄な謙遜も気負いもなくそう言う末永さん。
いまを見据え、目の前のこと、目の前にいる人を大切に、
仲間とともに着実に明日の福島を築いています。

小名浜ボランティアセンターも再開しました。
musubuも、いろんなイベントを開催しています。
ぜひ、小名浜に足を運んでみてください!
きっと、福島の明るい未来が垣間見れるはずです。