バックグラウンドが知りたくなるような、丁寧なものづくりを
クラフト工房 La Mano 高野 賢二
自然がいっぱいの敷地に、趣きのある古民家。とても素敵な場所ですね。
高野「ありがとうございます。工房として使わせて頂いている建物は築100年程と聞いています。工房の敷地も2000坪程ありまして、ちょっとした里山レベルですから、月に数回、地域の方が環境保全のためにボランティアして下さいます。昨年改修した離れがあるんですが、1階は織物の作業スペース。2階は多目的スペースに使用できます。この場所で展示会やイベントをすることで地域に開かれた場所にしていきたいですね。敷地の中には様々な植物があり、栗やよもぎ、畑で栽培している花などを染料として使用しています。
原材料も含めて、とても丁寧に物づくりをしていると思うんですが、実は障害を持つ方々が働く作業所なんですよね?
高野「そうなんです。現在22名の障害を持つ方と物づくりが好きなサポートスタッフで、月曜から金曜まで、日々物づくりをしています。何か作りたいという意欲のある方やのんびり作られる方、はじめは下手でも技術はあとからついてきますから。障害があるとは言えいろんな作業をできる方が数多くいます。熟練の職人並みの技術を持つ人もいるんですよ。」
来年で工房は20年だそうですが、高野さんは初めから関わっているんですか?
高野「いいえ、私は途中からです。元々染色を勉強していて、ずっと染物に関わって仕事をしていきたいと思っていたところ、学生時代の先輩がたまたまLa Mano で働いていた縁で。障害を持っていても、物づくりを通して、もっと社会に参加していけると思いましたし、そのためにデザインとか商品の質とかを追求していたら、いつのまにか、はまっていきましたね。
設立の頃から、工房では製品をただ作れるだけでなく、どうしたらいろんな人に喜んでもらえる商品作りができるようになるかを考えていました。それが化学染料を一切使用せず、草木染めや藍染めなど自然のものから色を抽出して染めることに繋がっていきました。
染色の発色剤として、人体や環境に負荷の少ない“ミョウバン”、“木酢酸鉄”を使っています。どうしても廃液などは生じますから環境にも配慮したものづくりをしたいです。
商品としては、このマフラーは手織りで、織り目が詰まらないように織っているのでとても軽いんですね。1本100gぐらい。手織りだからこそなんですけど、首に巻いた時に“ふわっと”空気を含むような感じですごく暖かいんです。軽いけど暖かいので、とても人気ですね。
色にもこだわっています。通常、緑系や紫系の色は、自然のもので染めようとするとなかなか染料がありません。そこで、黄色系に藍をかけ合わせて、緑を作っているんです。紫も赤系の色に藍をかけ合わせて作っています。藍がないと出来ない染め方です。」
ホントに丁寧なモノづくりですね。モノを作る上で、一番大事にしてることはなんですか?
高野「自分たちは本気で物づくりをしたいんですね。どこにもない、 La Manoでしか作れないものをみんなで作っていきたい。
デザインや、色、肌触りなど、物づくりの面からお客さんに感じていただきたいので、販売の時点では、障害を持つ方が作っていることはあまりお伝えしません。気になってあとから調べてみたら、「そうだったんだ」ぐらいでちょうどいいと思います。
このような福祉施設だと、障害を持つ方が中心にクローズアップされますが、スタッフだったり、ボランティアさんだったり、La Manoに関わるいろんな人を見て欲しいですね。もっと支える側の人たちも注目されてほしい。そこがピックアップされていくことで、こういった方向から物づくりに関わることができることを伝えていくことができると思っています。」
http://www.la-mano.jp/