海に生きる男の象徴である色鮮やかな大漁旗。それは、被災地と人の心を結ぶ新しい役割を渡され、日本全国に飛び立つ。大漁旗を再生したハンドメイドクラフト「結日丸」がearth gardenに出店!大人気のブレスレットは累計、1万本以上販売しています。結日丸を立ち上げた田中さんにお話を聞いてきました!
Made in 石巻
田中「おむすびとおにぎりの違いって、知ってます?おにぎりって、誰もが握れるからおにぎりなんですよ。でも、おむすびっていうのは、心臓の前で愛情を込めながら、米と米とを結ぶからおむすびなんです。」
結日丸は、漁業の象徴である大漁旗を使い、バッグやシャツ、ミサンガなどを制作するMade in 石巻のブランドだ。元々、京都でブランドを立ち上げ活動していた田中鉄太郎さんが、東日本大震災が起きて、いてもたってもいらず、すぐに石巻に向かったことから全ては始まる。
泥かき、瓦礫集め、日本全国から来たボランティアと共に活動をしていく中で、そこから一歩踏み込んで、少し先のことを具体的に考えてみた。石巻の人たちは、当面の間、様々なサポートを受けていくだろう。でも、それが無くなったら、どうなるか。仕事がなければ自立できない。だったら、自分のやっていたモノづくりを活かして、自立をサポートできる方法を見つけよう。そう考えた。そして、素材探しに出かけた初日、この大漁旗に出会ったのだ。会うべくして会うとはこのことだ。
田中「バッグやシャツは高い技術が必要ですけど、ブレスレットは頑張ればだれでも編める。地元のお母さん達に内職でブレスレット作りをお願いしています。品質のクオリティは保たなきゃいけないので、事前に何回もワークショップを行いました。今ではスタッフは9人。ブレスレットは累計1万本以上販売しています。
最初は、手持ちのまとまったお金なんて全く無くて、お母さんたちにもこの先どうなるかは分からない。と伝えていたけど、それでもやってくれると言ってくれた。そんなお母さんたちがいるからできたことです。」
おむすびから結日丸へ
京都でやっていたブランドは閉めてしまったのかと、聞いた時の答えが冒頭のおむすびの話題なのだけど、実は京都でやっていたブランドの名前が「おむすび」だったそうだ。「おむすび」から「結日丸」へは進化であり、むしろ結日丸のほうがより本質的におむすびの心を表現している。
田中「日本には『和』って言葉があります。あれって、物理的な『輪』じゃないですよね。精神的なものであり、要するに結ぶ心の集合体で『和』が出来ているんですよ。
『結ぶ』というのは、日本人の精神性として、昔からあるんです。震災が起きた時には、そういう言葉が溢れましたよね。『つながろう』とか『協力しよう』とか。今まで失われてた精神性が、復活してきたなって思っていたんです。そういう時代が来たんだなって。」
石巻では瓦礫の撤去は終わったが、仮設での自殺者の増加など、精神的な問題が大きくなってきている。震災直後は不安を感じるほどの余裕もなく、生きていくことに精一杯だったが、生活が普通に戻り始めている今、いろいろ考える時間も増える。だから今が一番つらいと話す人も多い。
日々の忙しい生活の中では、人の心は離れていきがち。だが、流れていく気持ちをつなぎとめる錨のようなものがあれば、思い出せるし、困ったときには助け合える。結日丸は被災地と人の心を結ぶ大事な役割を果たし続ける。
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