お経、とひとくちに言っても、一説には84,000種類あるらしい。そんな中でも「諸経の王」と呼ばれるのは『妙法蓮華経(通称:法華経)』で、ナン(南無=帰依)ミョーホーレンゲキョー、というとフレーズで聞き覚えがあるかもしれない。
このお経の最終章「普賢菩薩勧発品(ふげんぼさつかんぼっぽん)」では、世の中を渡っていくわれわれに「四法」すなわち4つのアドバイスが示されている。
先般、この4つの教えを<今後の人生への指針>として改めて授かった。ゆえにここにも記しておく。
一者為諸仏護念
1に、いつも仏さまにお護りいただいているという心持でいること
こんな話がある。
ある人が「わたしは仏さまの教えを聴いているときは、そうだそうだその通りだ、と思うのに、すぐに元の心に戻ってしまう。まるで穴だらけの籠で水を汲んでいるようなものです。」と打ち明けた。
すると「籠で水を汲もうとするから大変なのだ。その籠を水につけたらどうかね。」と言葉をかけられたという。
わたしの籠に入れたい、という了見では、入ってこないのだ。わたしごと投入した先に世界は拓けるし、そんな世界に自分はすでに居るのだ、という大船に乗ったような安心の心持ちでいなさいということだろう。
二者植諸徳本
2に、善いと思うことを進んで行い功徳を積むこと
仏教でいう善と悪の定義は何か?難解かに思えるが、ここでは思い切ってシンプルに
善=自分がされて喜ぶこと
悪=自分がされて嫌なこと
程度に考えていれば良いだろう。自分がされたら喜ぶことをすすんで行っていくこと。すると物腰も変わってきて、その人のいる周りが何となく柔和になってくる。ひと一人の影響力は絶大だからだ。
三者入正定聚
3に、必ず悟ることができるという正しい考えと行動とに精進する仲間に入ること
パーソン・センタード・アプローチ(来談者中心療法)の創始者カール・ロジャーズは、グループ・アプローチを「20世紀最大の社会的発明」と言った。グループ(仲間)はときに権力さえ転覆させる力を持つ。ゲバラも坂本龍馬も仲間達と協同した。僕が為政者や権力者だったら、集会(デモ含む)は禁止させたいところだ。それほどまでに、仲間に加わる、というアクションから高エネルギーが交換されるのを僕らは知っている。
四者発救一切衆生
4に、常に衆生のためになり苦しむものを救助しようとする慈悲の心を忘れないこと
お寺や神社に行って闇雲に手を合わせて願掛けをしても、それがインスタントに叶う道理はない。その願いが社会に還元できる内容であってはじめて実現されよう。自らの願いの延長に世のため・人のためがあるような、そんな願いを持ちたいものだ。
…これら解釈は今の私の解釈で、境涯が変わればまた違ってくるやもしれない。解釈に幅を持てる寛容さこそ、お経が2500年も語り継がれてきたゆえんだとも思う。
まずは上記、この4つを常に心に納めて人生を歩まんとしていくのが、現時点の自戒となる。ここに記録しておく。
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