【国連で平和を訴える高校生】think peace, make peaceな夏

世界事務局をジュネーブにおく国際NGO、YWCA (Young Women’s
Christian Association) より、日本の夏と平和について、高校生の声をお届けします。

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今年の夏は皆さんいかがお過ごしになりましたか?夏といったら、ビーチや山で友人や家族とバカンスに出かけたり、フェスやキャンプで盛り上がるのも良し。でも、せっかく日本に住んでいるわけだし、8月は、少し平和について考えてもいいかも。今回は長崎出身の「高校生平和大使※1」OGや、平和のためにさまざまな活動を担う高校生の、真面目で、ピュアな声をお届けします。

「私は高校で過ごした3年間、『高校生1万人署名活動※2』や『高校生平和大使』の活動に関わってきました。高校1年生の時には、メキシコに行き、『核兵器の非人道性に関する第2回国際会議』に出席しました。

この会議では、国際会議で初めて『被爆者セッション』が設けられ、被爆者と被爆3世が証言やスピーチをする機会がつくられました。私は国連の場で初めて、被爆3世として若者の声を世界へと発信しました。

高校2年生の時には、第17代高校生平和大使としてスイスの国連欧州本部を訪れました。この年から軍縮会議内での高校生平和大使の発言が認められ、私はその代表としてスピーチをしました。そこで、私の祖父母が経験したことや、高校生が担う平和活動について話し、スピーチの最後には軍縮会議に出席している各国政府の方々へ向けて、『一度でいいから長崎・広島を訪れて被爆の実相を実際に見て欲しい』と訴えました。」

「私は学校で、平和学習部に所属し、『振袖プロジェクト』を担当しています。この活動では、長崎への原爆投下で被害を受けた2人の少女の物語や悲惨な出来事を、日本だけに留まらず、世界に向けて発信しています。

海外の方々との交流を通して、それぞれの平和への思いを共有し、たくさんのことを学んできました。長崎や広島のことはもちろん、原子力発電所が抱える問題や、日本の加害責任、自然災害などについて、いろいろな側面から平和について考える機会がありました。平和の意識が高い若者たちに囲まれた環境の中で学び、自分自身の平和への思いや考えもしっかり固めることができました。」

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「平和学習部では海外派遣として、積極的に海外へ発信する機会があります。4月にはCIF(クリティカル・イッシューズ・フォーラム:世界の高校生を集めて核不拡散・軍縮問題に関する討議を行う国際会議)という、若者が中心の核に関する国際会議に出席するために、アメリカに派遣していただきました。その際、ホストファミリーや現地のアメリカ人とも原爆について話し合い、意見も共有できました。

やはり、皆『核』を無くしたいという思いは同じで、世界中が願っていることだと感じました。これからは、私たち若者の平和への働きかけが重要になってくると考えます。歴史を正しく学び、これからの世代が、戦争を経験しなくていいように、過ちを二度と繰り返さないように、私たちが訴えていくべきです。私たちは1日でも早く平和の世界になるように願い、平和活動を続けていきます。」

「高校生の平和活動を通じて世界へ発信する中で、『若者が平和へ向けて活動することの意義』を感じました。大人ではなく、若者、高校生が行動を起こすことによって、大人の方々に影響を与えることができると確かに感じるのです。被爆から70年が過ぎた今、若者が平和活動を担うことがますます重要になってきています。

被爆者や戦争体験者が少なくなってきている今、戦争を体験してきた人たちは、私たち若者の活動を『希望の光』だと言ってくださいます。私たちのように若者が平和活動を続けるのは、微力だけれど無力ではないはずです。これまで、被爆者の方たちに支えられながら活動をしてきた分、これからは私たち若者が平和活動の先頭に立って、被爆者の思いを受け継いでいかなければならないと思います。」

※1:被爆地の声を世界に届けるため、1998年以降、全国の高校生がスイス・ジュネーブの国連欧州本部を訪れ、核兵器廃絶と平和な世界の実現を訴えてきました。

高校生平和大使に関する参考資料
http://peacefulworld10000.com/heiwataishi

※2:高校生平和大使募集をきっかけに集まった高校生たちは、核兵器廃絶を目指す取り組みとして、署名活動を始めました。「1万人」というのは当初長崎の高校生が1万人くらいいるだろう、という想定に由来していますが、長崎の高校生のみならず、どなたでも署名することができます。

高校生1万人署名活動に関する参考資料
http://peacefulworld10000.com/shomeikatsudo

YWCAとは

YWCA (Young Women’s Christian Association) は、世界事務局をジュネーブにおく国際NGOで、国連の諮問機関です。1855年に英国で始まり、現在世界120あまりの国で、約2500万人の女性たちが活動しています。日本においては1905年の設立以来、100年以上にわたって、女性の社会参画を進め、人権や健康や環境が守られる平和な世界を実現するために、さまざまな社会貢献活動を展開しています。