タイジの想いにミュージシャンが応える! 中津川ソーラー武道館2016レポート

【コラム|テンダー】「佐藤タイジの想いにみんなで応える! 中津川ソーラー武道館2016レポート」

タイジの想いにミュージシャンが応える! 中津川ソーラー武道館2016レポート

9月中旬に開催された「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2016」。

わたくしテンダー、音楽フェスの真っ只中で、なぜかトークと円卓ワークショップをするというアウェイ感溢れる参加をして来ましたよ(しかもテーマは「音楽と平和」、「選挙に行こう!」の2つ)。

一言でどうだったかと言われれば・・・やはりアウェイでした(遠い目)。

アウェイ
photo by 鈴木 圭生
[18歳投票を説明するアウェイの図]

それはさておき、ソーラー武道館開催から、もう一ヶ月以上経ったけど、今でもあの2日間のことを思い出すわけですよ。
いやーーー、楽しかったなぁ。

何を隠そう、野外フェスって爆音で疲れるし、人がいっぱいいるし、なんだかんだ言ってお金を使う仕組みだし、あんまり好きじゃないんだけど、それを押してなお、楽しかった。

だから今日は「野外フェスなんて疲れるだけじゃん!」と思ってる人にオススメの、テンダーによるソーラー武道館レポートです。

» 中津川 THE SOLAR BUDOKAN とは!

タイジの想いにミュージシャンが応える! 中津川ソーラー武道館2016レポート

ソーラー武道館は、運営のために使う電力を、持続可能な太陽光発電で賄おう、という野外フェス。
シアターブルックの佐藤タイジさんが呼びかけ人。

タイジの想いにミュージシャンが応える! 中津川ソーラー武道館2016レポート
[佐藤タイジさん。他のミュージシャンから「あのモジャモジャ」と呼ばれ続けておりました。]

あとは出店者が提供している食品の線量表示をしてるので、ご家族連れでも安心、というのがざっくりした全体像。

それだけ聞くと、エコ系フェスというイメージなんだけど、実際は違った・・・!

実際は・・・みなさん、そりゃあもう本気でした・・・!!

» 例えば、ソーラー電源は音がイイ!の意味

タイジさんは「ソーラー電源は音がイイ!」って言い続けてるんだけど、

わたくし、電気の本を書いてるので説明すると、この話は「どうせプラシーボ効果でしょ?」とか「トンデモ科学?」と一括りにするようなことじゃなくて、

そもそも発電所から使用場所まで何キロも送電をすると、途中で電気にノイズが乗ったり、他の電気ユーザーの影響を受けるので、独立したシステムを使用場所に組んじゃえば、他のユーザーの影響を受けないがゆえに、音が綺麗、という話。

たしかに、今まで参加した野外フェスでは、音を聞いてるのに疲れることがあったけど、ソーラー武道館ではそういうことがなかった気もする。それは、PAさんのウデだったり、会場の配置だったり、いろんな要素があるとは思うけれど、一言で言えば、会場に不快さが少なかった

これは一例だけど、一度良いものを知ってしまったら、それよりも悪いものを提供するのは職人のポリシーに反する、というような、そんな感覚がビシビシ伝わるものがありました。音がイイから独立電源を使う。発電機はうるさいから使わない。いやー、まともだ。

» 随所に見られる「本気」

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私はテレビを見ないし、ミュージックシーンのチェックもしないので、知らない出演者の方ばかりなのだけど(本当にすいません)、それでもミュージシャンがステージに立った時の気配やら、話す内容やらで、「おお、この人本気だ!」と思うことがたびたびあった。

タイジの想いにミュージシャンが応える! 中津川ソーラー武道館2016レポート
[ソーラー武道館の出演者ラインナップ]

私が2006年に青森県六ヶ所村に移住した時は、STOP ROKKASHO!というムーブメントがあって、坂本龍一さんがたくさんのアーティストに活動を呼びかけたんだけど、ほとんどのミュージシャンは核の問題について、発言しなかった。忌野清志郎さんや、SUGIZOさんや、あとはラッパーの方々などなどはいらっしゃったけど、それでも圧倒的に少なかった。広告会社の電通に不都合なことを言うと、テレビから干されてしまう、という暗黙のルールがあったから。

確実に当時はアンタッチャブルな話題だったし、今でも業界内にそういう部分はあるとは思うんだけど、福島の事故を経て、大きく変わった部分もあるんだと思う。

今回のソーラー武道館では、それぞれのミュージシャンが、それぞれの意志で、エネルギー問題や環境のこと、政治のことをステージ上で、自分の言葉で喋った

それを見て、私、切実に思いましたよ!

「不特定多数に向けて、自分ひとりでも、その信念を大きな声で話す覚悟を持った人」を私は支えたいし、みんなにも支えてほしい、って。立ち上がった人を傷つけないで欲しい。

タイジの想いにミュージシャンが応える! 中津川ソーラー武道館2016レポート

私たちは、自分が有名であろうがなかろうが、後から何を言われるかわからない場面で、
自分の率直な胸のうちを、数千人に向けて大きな声で言えるだろうか?

それはもはや、パフォーマンスではなく、覚悟の強さだと私は思う。

ソーラー武道館では、多くのミュージシャンが、ステージ上で覚悟を見せた。
それは本当にビリビリ来ることで、それを可能にさせる環境とムードが、ソーラー武道館にはあったのだ。

一例を挙げるなら、
初日のトークWSで、NAMBA69の難波さんに私は尋ねた。

「今日の話のテーマが<音楽と平和>なんですけれど、難波さんの激しい音楽の中で、難波さんは平和を意識することはありますか?」

すると難波さんは一呼吸を置いてから、なにひとつ恥じることなく言った。

「あるよ。いつだってそう。ステージに立った時はいつも、自分がちゃんとそこにいるのかを感じて、それから家族が今この瞬間、平和であることを祈る。

激しい音楽でも、歌詞に書いてあっても、書いてなくても、
いつもステージで愛と平和を祈ってる。
愛と平和を歌ってる」

あまりにも難波さんがまっすぐ言うから私、この難波さんの言葉で泣いてしまった。

» 一人目のダンサー、佐藤タイジ

ソーラー武道館に参加した2日間、音楽家でありプログラマでもあるデレク・シヴァーズが語るTEDプレゼン「社会運動はどうやって起こすか」のことばかり考えていた。

(ちょっと失礼な言葉の部分もあるけど)佐藤タイジはこの動画で語られる一人目のダンサーそのもののように、私には思えたのだ。

タイジの想いにミュージシャンが応える! 中津川ソーラー武道館2016レポート

「ソーラーでフェスやって、何か変わるのか?」

そういった批判は、必ずと言っていいほど囁かれる。きっとタイジさんも、いろんな人にいろんなことを言われたと思う。
だけどそれは、この地球に隠された秘密のひとつであって、実際にはやってみるまではわからないのだ。

そして4年間、ソーラーでフェスをやった結果、
今や大御所を含め、ソーラー武道館には、50組を超えるミュージシャンが参加するまでになった。さらに彼らは、ステージの上から数千人に向けて、覚悟を決めて、ありったけの愛で、環境や政治のことを喋るのだ。

タイジの想いにミュージシャンが応える! 中津川ソーラー武道館2016レポート

それに意味がないわけないじゃないか。

さらに私が一番感銘を受けたのは、その波及が会場以外にも溢れていたこと。

» 地元も全力応援!

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イベント前日は、中津川の小学校向けのワークショップがあり、私はそこから参加したんだけど、

その時に知り合ったKAKUEIさんというパーカッショニストのお兄さんと、夕飯を食べるお店を探しながら、中津川駅周辺の商店街を歩いた。

すると、どの店にもソーラー武道館のポスターが貼ってあったうえに、古くからやっていそうな洋食屋さんに入ると、なんと初対面のおかみさんに言われたのだった。

「あなたたち、音楽の方? ありがとうねー、明日も本当によろしくお願いします」

私(=ボサボサ頭で服に穴が空いてたりするヒッピー)と、KAKUEIさん(金色のヒゲ+ハット帽)の2人連れで、初対面の方に感謝されるとは!

翌日は翌日で、タクシーに乗れば運転手さんからも感謝されたので、会場までの道中で詳しく聞いてみたところ、

「この2日間は、どこのホテルも満室になり、たくさんの方が中津川にいらっしゃり、街も潤いますし、賑やかになります。だから街をあげてこのイベントを歓迎したいのです」とのこと。

いやあー・・・すごいことだ。
イベントが積み重ねてきたものが、多くの人の拠り所になってるんだなぁ、とタクシーの中でしみじみ感じ入る。

» 結論:夢のような2日間だった。

タイジの想いにミュージシャンが応える! 中津川ソーラー武道館2016レポート

私はミュージシャンではないけれど、中津川という街と、ソーラー武道館の持つ「大きなパワー」に触れて、誰かが誰かを必要とする・必要とされる喜びを垣間見ることができた。

タイジさんが歌うように「世界は変えられる」と、信じられた瞬間がたくさんあった。

そういったことも含め、ソーラー武道館はフェスというよりも、お客さんも、他のミュージシャンも、みんなで佐藤タイジの夢をシェアするパーティというのが個人的印象。

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というのも、ステージ上のタイジさんは始終嬉しそうで嬉しそうで、音楽するのが楽しくてたまらない、という様子で「ああ、この顔を見るために来年も来たいなぁ」と素直に思えたのでした。

このイベントを作るために、本当にたくさんの人が尽力していると思う。実際にそういういわゆる「裏方さん」たちともたくさんやりとりをした。そのうえで改めて私がグッとくるのは、佐藤タイジが一人目のダンサーとして、今も踊り続けている事実だ。

4年経って、
気がつけば街全体が踊るようになったけれど、それでも彼は踊り続けるのだと思う。

もう一度
世界を変えるまで。

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(文:ヨホホ研究所 / テンダー)