今各地で朝市が盛り上がっていることを聞いた事がある方も多いと思います。今回、アースガーデンでも昔からお世話になっている、ミツロウキャンドルのワイルドツリーさんのお店のある長野県伊那市の商店街で、オーガニックな朝市をやっていると聞き、ワイルドツリーの平賀さんが4年前に立ち上げたならきっと素敵に違いない!と、新宿から高速バスで約3時間半、取材にいってまいりました。
伊那谷の美しい自然に囲まれた朝市『いなまち朝マルシェ』
高速バスの降り口からすぐの「通り町アーケード」は、伊那谷の天竜川が目の前を流れる田舎の商店街です。街で暮らす人びとに愛されているスーパーやお菓子屋、金物屋、飲食店、そして、我らがワイルドツリーさんのお店をはじめ、よ〜〜く見ると何やらそこかしこにこだわりを感じるお店がありました。
到着した前日、噂の朝市『いなまち朝マルシェ』の会場準備があるというので、私も一緒にテント数張りの設営のお手伝いをしました。会場は商店街の入り口の広場だったのですが、ふと気付くとわらわらと実行委員の方たちが現れて、軽トラからテントや机イスなどの備品が持ち込まれ、みんなでエッサホイサと荷下ろしが始まりました。その様子は和気藹々。明日がとても楽しみになりました。やはりこの商店街、何かありそうです。
地元を誇りに感じられる朝マルシェの秘密
その1:ともかくお洒落でカラフル、美味しいこと。
いよいよ当日。
失礼ながら、その朝市の光景に驚きました。昨日感じた商店街の何かを納得させられるような、所謂朝市ではなく、朝マルシェと呼ぶのが相応しい素敵な空間が朝日の中に出来上がっていました。ともかく、お洒落!これが長野の田舎町の朝市なの?という感じです。そして、お洒落なのはマルシェだけでなく、集う人たちも雰囲気のある感じの人で賑わっています。
伊那谷では、オーガニックで野菜作りをしている農家が結構あるそうなのですが、その農家さんのお店の採れたて野菜の美しいこと、それを使ったご飯のおいしいこと!お店はだいたい会場の広場にちょうど収まる20店舗弱。
それにしても静かな田舎町の日曜日の朝にこの賑わいは、確実にこの朝市を楽しみにして来ている人たちなのでしょう。色とりどりの新鮮な野菜を買う人、おいしいご飯を買って食べる人、立ち話をする人たち、演奏をする人、その曲でノリノリで踊る子どもたち。売る人も買う人もみんな週末の朝の時間と、人との交流を楽しんでいました。
有機野菜が採れはじめる6月から10月まで、毎月最終日曜日に開催されるということで、月に一度、ここでの時間を楽しみにしている方に定着しているようです。
その2:小さい市「で」いいのではなく、小さい市「が」いい
『いなまち朝マルシェ』の魅力はなんだろう?とずっと考えていましたが、日々の買い物や都心の大きなイベントと明らかに違う点を発見しました。その違いは<知り合い同士が多い>です。当たり前のことです。地元でやって地元の人が買いにきているのですから。でも、東京での普段の暮らしはどうでしょう?私ごとながら、イベントearthgardenはそれでも知り合いとバッタリ会える〜とよく評判を耳にしますが、都会では人も情報も多くなかなかそうはなりません。
『いなまち朝マルシェ』では、肩に力の入らない、当たり前の朝の挨拶や、名前を呼び合うような日常的な会話があっちこっちで聞こえてきました。人と人が緊張感なく繋がるのに無理のない、まさに調度よい規模の朝市。
実際、これ以上大きくすることで、実行委員に負担が多くならないように、ここでやれるだけの規模にしていると平賀さんに教えていただきました。最初は気持ちをわかり合っている仲間数件から始めたそうで、<より大きいほどいい><より売れた方がいい>という価値観でなく、やる側の事務局も無理なく楽しめることや、ただ売るだけの場でなく、本当の幸せってなんだろう?という目線で、人との交流を大事にここまでやってらっしゃったそうです。
その先に経済や効率が優先される社会ではなく、人としての豊かさが大事にされる未来を思い描いて。
そんな『いなまち朝マルシェ』の憲章を教えていただきました。
この美しい自然に寄り添った暮らしそのものです。
美しい自然はおいしい野菜を生み、
農という営みがまた美しい自然を作ります。
いなまち朝マルシェは、そんな魅力を
発信、創造、次世代にツナグ場です。
ゆるくて楽しい雰囲気、多種多様な人が集まり、
ツナガリがうまれ、笑顔があふれる。
エネルギーも、食も、人も、経済も、
ぐるぐる回る小さな市を目指します。
それが、あたりまえの日常へとつなげるように。
その3:マルシェでの出会いが暮らしにつなげられること。
自分の住んでいる街の魅力は、なんとなく言葉として理解している程度で、意外とぼんやりしているものです。例えば、あれが名産とか、なにが良く採れるとか、自然が美しいとか。
でも、『いなまち朝マルシェ』では、いつも行ってる商店街のお店のあの人が作っている料理、知っている人の知っている人が作るオーガニックな野菜。そういう自分と繋がっている人たちの手で作られたものを、同じ土地で住む人たちが「これ美味しい!」と堪能できる・・とてもシンプルでありながら、まさに身体も一緒に、地元への愛と誇りが膨らみます。
そして、マルシェでの出会いは地元の中で途切れることなく日常の中で繋がりつづけるのです。私も遊びに来た身でありながら、その輪の中に加えていただいたようで、とってもリラックスして、お腹と心を一杯にして過ごすことが出来た幸せな一時でした。
あのイキイキとした光景のように、普段の暮らしの中でも人と気持ちで繋がりあい、地元を誇りに思い、地元を好きになれたなら、きっとその街は健やかに有り続けるだろうと思います。
人生のチューニングを合わせにまた行こう!
好奇心で伺うことにした『いなまち朝マルシェ』でしたが、ただ買うというだけでない、豊かな人と人との関わりこそが、人の気持ちを温かくさせてくれるのだと、秘密を知れた気がします。この旅で知ることができた目線を私も大事に、イベントearthgardenや、日々の暮らしを見つめ直そうと思いました。
平賀さん、みなさん、ありがとうございました!
次回の『いなまち朝マルシェ』
年に一度&今年最後の拡大版<朝マルシェ収穫祭>
10月29日(日) 時間10:00~15:00
会場 セントラルパーク(長野県伊那市駅前)
詳細は、こちらをチェックしてください。
https://www.facebook.com/inamachi.bazaar/
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