Hi! LIFE八ヶ岳2018にも出演したロックバンド、「EL CARNAVALOW」でtb/voとして活躍するTSUJICCIこと若尾亮さんは、山梨県甲州市勝沼町にあるマルサン葡萄酒の代表でもあリます。「どちらも本気でやっている!」と、公言している若尾さんの日常について伺いました。
──まず音楽活動とビジネスを両立している若尾さんの日常って、どんな感じなんでしょう?
うちは、ワイン醸造だけでなくブドウ栽培もやってますから、それこそ農園の作業から製造、販売、そして経営に関わる業務全てを家族でやってます。
朝は一応8時半くらいが始業時間なんですけど、早いと4〜5時くらいに起きて農園にいって、その後ちょっと事務作業やってから家族で朝ごはん。それから、売店の業務だとか、配達だとか……あと、ブドウ園は観光農園としてもやっているので、丁度8〜10月はぶどう狩りのお客さんのガイドみたいなこともやったりします。
仕事が終わるのは、日がくれたらって感じですかね(笑)。というか、そうなるように逆算して1日の仕事を決めてますね。
──音楽活動の方は?
リハーサルは、メンバーの都合もあって東京でやるんですけど、みんな別の仕事を持っているんで、土日の夜とかが多いです。道が混むのが嫌なんで電車で出かけるんですけど、普通に仕事して時間になったら出かける……って感じです。
ライブの時も変わんないですね。出番の30分前に着くように出かける。長年一緒にやってるんで、サウンドチェック用の曲が決まってて、本番で合わせてく、みたいな感じです。
──うかがってると、ほとんど休みが取れないんじゃないですか?
うーん、休み、ないですね(笑)。でも、家業ってそういうことだよなって思ってます。自分は一度上京して、Uターンしてきた人間なんで、(山梨に)帰ってきて、結婚して、家業を継ぐって決めたときに、ある程度覚悟はしていたっていうか。
──仕事とプライベートのON/OFFってどうやって切り替えてるんですか?
いや、特に切り替えてないです(笑)。うちは社員がいないし、例えば父親が上司であり家族でもある。そんな感じですから、音楽にしてもワインの仕事にしても、全部日常生活の流れの中にあって、その中に細かいON/OFFがあるって感じですかね……。
──辛いと思うことはないですか?
自分は、『面白いやついねーし、山梨つまんねー!』って、いわば地元に退屈して上京しておきながら、戻ってきたんですよね。地元に帰るって決めたときには、正直『またあそこに……』っていうネガティブな気持ちもありました。でも家業を継いで、バンドもやって、それぞれのおかげでいろんな出会いがあった。仲間が増えてきて、彼らからこの土地の楽しみ方を教えてもらったと思ってます。暮らしのお手本が見つかったというか。みんな同じようにお店やったり、自営でビジネスやったりしていて、暮らしのバランスの取り方を彼らから学んで来れた、というかね。
──自分だけの楽しみは、必要ない?
家族との時間、特に子供と遊ぶことだったりとかは、もちろん楽しみですよ。あと、一人でたまに電車乗って飲みに行くこともあります。一晩で何軒かはしごして、帰ってくるとか(笑)。でも、音楽やワインの仕事を通じて出会った仲間に、日々刺激を受けること自体が楽しみ、かなぁ……。あと、バンドで演奏はしていても、やっぱり音楽をゆっくり聞く時間が少なくなったんで、知り合いのカフェでDJイベントを主催してます。かれこれ40回くらいやったかな……機材も全部持ち込むから、通常営業の時間にやらせて!って言って(笑)。毎回1人ゲストを呼んで、好きな音楽かけて聴きながら話したり……楽しいですね(笑)。
──お話を伺ってると、つながりの中に楽しみを見出して行くタイプなんですかね? 音楽もワインも全部が日常生活の流れの中にあって、その中にうねりのようにON/OFFがあって……?
さっきも言いましたけど、観光農園でお客さんを案内したり、テイスティングのガイドをしたり、家業の方ではいわば6次産業っていうか。製造から販売まで全部やってるから、いわば常に最前線にいるって感覚があるんですね。例えば、県外からきたお客さんに、山梨、勝沼のいいところをアピールしたいっていう。でも、僕は変に気合い入れすぎずに、いわば“海の家のお兄ちゃん”みたいな感じででいいかなって思ってるんです。最前線なんだけど、気軽に話せて、しかもいいこと教えてくれる、みたいな(笑)。
バンドにしても同じなんですよ。実は、初めトロンボーン奏者としてバンド活動始めたんですね。でも、EL CARNAVALOWを始めて、ボーカルも担当して、文字通り最前線に立つことになった。自分にとっての理想のライブって、オーディエンスが身動き取れないくらい圧倒するものって思ってるんですけど、それって、やっぱり生活の中から出てくるもんじゃなきゃダメだとも思うんです。演じている部分がないといえば嘘になるかもしれませんけど、でもやっぱりナチュラルではありたいです。
──そんなEL CARNAVALOWは、昨年に続いて今年も「Hi! LIFE」で素晴らしいパフォーマンスを披露していただきました。今年の「Hi! LIFE」はいかがでしたか?
地元のイベントだって意識は強くあるんですけど、あそこ(清里)に行くと、なんか(勝沼と)違うっていう不思議な感覚があるんです。山梨県民はみんなそうだと思うんですけど、無意識に周りの山を見て方角を知る、みたいなところがあるんです。清里に行くと見える山の姿が違ってて、正直地元な感じがしないんですね。まあ、一言でいうと、今回も『ここスゲー!』って感じだったんですけど(笑)。
──マルサン葡萄酒として、マーケットエリアにも出店されてましたが?
予想していた以上に売り上げも高くて、県外の方も、そして地元の知り合いもいっぱい来てくれた。うちのワインを飲んでくれたのはもちろんですけど、お土産にボトルを買ってくれるお客さんもいっぱいいて、嬉しかったです。
──10月にはアースガーデン秋も控えています。今回Hi! LIFE同様、出演と出店での参加ということですが?
「昔から『出たい!』と思っていたイベントなんで、やっとという感じですし、メンバーもすごく喜んでます。とにかく楽しみですね」。
──ありがとうございました!
http://hi-life.jp/