食べるもの、身につけるもの、買うもの…。地球環境のことを考えたり、自分の美容や家族の健康に向き合いながら、自然派なライフスタイルを選んでいる人の「ヘアケア」の悩みに答えるオンライントークセッション「ナチュラルとカラフルを両立できる髪との向き合い方4回目のレポートです!
講座はオンラインで開催されました。講座のアーカイブは下記URLから有料で見ることができます。興味のある方はぜひご覧ください!
講師プロフィール
井上光昭
大阪堀江にて「salon bo:rl」を経営。有名ブランドの開発・外部講師も多く務める。サロンブランディングに「オーガニック」というコンセプトをいち早く取り入れており、日本におけるオーガニックサロン成功の第一人者。また、2011年以降、震災の復興支援活動を多角的に進め、現在NPO法人コンセントの代表として多くの美容師と共に様々な活動においてスペシャリストとして活躍中。ドライシャンプーANの開発者でもある。
このレポートでは、当日の講座の内容をかいつまみ、整理してお届けします!
今回のポイント!
検索ワードの切り口を変える
PRではない、オーガニックさやナチュラルさ
美容師にとってオーガニックやナチュラルというキーワードは、2つの側面があると言います。
ひとつは、ビジネス的な観点。オーガニックやナチュラルをお客さんへの訴求として使うということ。もうひとつは、自分たちのライフスタイルとして実践するという観点。極端に言えば、お客さんがどう思おうと構わず自分が「こうあるべき」と思うことを続ければいいということです。
後者は言ってしまえば、一個人としてののエゴです。(悪い意味ではなく)別に、誰が実践しようとしなかろうと、自分がもしくはお店として実践すればいい。
ただし、世界をとりまく気候変動のことを考えれば、そう単純でもありません。一人でも多くの人が、環境問題を気にかけながら生活をしたほうがきっといい。それなら、いまある課題を多くの人に知ってほしいし、解決につながるようなアイデアや選択肢があるならそれも広めたい。井上さんはそんな純粋な気持ちでbo:rlを運営しています。
検索から見えているのは果たして「リアル」か?
そんなことを考えている井上さんから見た「美容室の探し方」を伝授してもらいました。
美容室の収客には、段階があります。知ってもらう、気に入ってもらう、来てもらう、もう一度来てもらう(他の人に宣伝してもらう)という順番です。美容室は、まず知ってもらうために、いろんな作戦を立てます。
bo:rlでは、他の人に宣伝してもらうことで「知ってもらう」のがほとんどだそうです。そういった口コミは、その人が美容院で体験したさまざまな「リアル」が人づてに伝わっていきます。
でも、お客さんが美容院を選ぼうとした時まず初めに思い浮かぶ検索では、そのリアルがだいぶ薄まってしまっているのです。
例えば「ナチュラル サロン」と検索した時に並ぶ写真は、こんなかんじ。ここで出てくるお店の雰囲気を見て、自分に合うか、合わないか、なんとなく決めている人が多いのではないでしょうか。
しかし、よくよく考えると、美容室の内装を手掛けているのは、内装デザイナーさんです。サロンのオーナーの好みは反映されているにしても、流行りのテイストだからという理由だけでデザインされている場合もあるでしょうし、オーナーの人柄や価値観が完璧に反映されているとは言い難い。
じゃあ、美容師さんそのものの雰囲気を見てみる。こんなふうに画像検索で出てきます。その人の外見の雰囲気はわかりますが、やはり価値観や大切にしているものはわかりません。
だとしたら髪型をメインにした検索をかけたらどうか。スタイリングがずらずらと並びます。これを元に「この髪型にしてください」と、それを手掛けた美容室に行ってみる。この場合、結果として理想の髪型は手に入るかもしれませんが、やはり価値観の部分ですり合わせすることは難しいですね。
検索ワードを変えてみることで伝わる、美容室の価値観
こう考えると、自分と価値観の合う美容院を探すのは、なかなか難しいことがわかります。そうです、簡単ではないのです。
ちょっと視点を変えてみましょう。「美容室 社会活動」「美容室 環境活動」といった検索ワードにしてみます。
こうしてみると、宣伝色が削ぎ落とされた、美容室・美容院の価値観が見えてきます。「オーガニック」や「地域名」と共に「社会活動」「環境活動」など、ちょっと検索の切り口を変えてみると、自分の価値観と合った美容室である可能性がぐっと高まるのではないかと、井上さんは言います。
例えば井上さんは、2010年にNPO法人CONCENTを設立し、bo:rlだけでなく、有志の美容師さんと共に、児童養護施設や災害ボランティアなど美容師のスキルを活かした活動をしています。
https://www.instagram.com/concent_npo/
他にも、地域のお祭に参加したり近くのお寺を借りて地域イベントを開催したり、美容室のお客さんや地域の人々とコミュニティを作ったりもしています。
自然派なライフスタイルを選んでいる人にとって、こうした視点を持った美容室との出会いは、ヘアケア以上の価値があると思います。もしかしたら、ご近所にはないかもしれません。でも、美容室に行くのは数ヶ月に1度。美容室に行くことを旅と捉えて、ちょっと遠くの美容室に行ってみるのも、アリではないでしょうか。
髪を変える。新しい自分と出会う。新しい人や価値観と出会う。自分にとって特別な時間として、美容室に行ってみたら、人生が少しだけ豊かになる気がします。
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テキストのレポートはここまで。
講座では、井上さんの社会活動や、bo:rlで扱っているヘアケア商品の紹介。さらに井上さんの考える「これからのオシャレって?」という話も聞かせていただきました。ぜひアーカイブも御覧ください!
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