信じられる友達をつくりに行きませんか|能登復興トークレポート<CANDLE JUNE> 

元日で能登半島地震から1年が経ちました。さまざまな報道やSNSで「復興が全然進んでいない」という声を聞いたことがあるのではないでしょうか。アースガーデン冬2025では、震災直後から継続的に支援活動に取り組んでいる皆さんをお呼びし、トークセッションやブース出店をしていただきました。

今回は当日のトークセッションのレポートをお届けします。1つ目は20年近く被災地に通い支援を続けるCANDLE JUNEさん。なぜ自分が被災地支援を続けるのか、どうして一人でも多くの人に行ってほしいのか。話を聴く一人ひとりの目を見ながら、力強く語ってくれた姿がとても印象的でした。

自分がやりたいからやっている

なんだか緊張しますね。久しぶりに東京の表舞台に出てきました。CANDLE JUNEと申します。よろしくお願いします。

能登では、震災の翌日、1月2日から現地に入って支援をしています。私が災害被災地の支援活動を始めたのは新潟中越地震からで、もう20年近くになります。さまざまな被災地域に行って活動させてもらう中で、いろんなことを思います。ただ、それを東京で伝えるのは難しいんです。現地の温度をそのまま伝えようと熱く語ると、みんな引いてしまう。かといって、楽しく伝えようとすると「被災地支援なのにふざけているのか?」と言われてしまう。この難しさは、被災地支援をしている人なら共感してもらえるんじゃないかと思います。

ただ1つちゃんと伝えたいのは、「自分がやりたいからやっている」ということです。新潟中越地震から始まり、東日本大震災では団体を立ち上げ、今では自分の会社とは別に災害支援の法人を設立して活動しています。そんな活動を通じて、さまざまな人に出会いました。支援に駆けつけた人もいるし、被災した人もいる。どんな立場であっても、一緒に活動していると次第に友達や家族、同志のような存在になっていくんです。

被災地で共に活動する仲間たちとの時間は、家族との時間のように感じています。小さな子どもも、同世代も、おじいちゃんおばあちゃん世代もいる。さまざまなメンバーが集って、物資を運んだり、泥かきをしたり、一緒にご飯を作って食べたりしています。一緒に「生活」をする中で、家族や親戚付き合いのような感覚になるんです。だから支援に行くというよりも、家族や友達が大変だから何もしないわけにはいかない。そんな表現が一番しっくりきます。だから皆さんも、一緒に友達を作りに行きませんか?

大人ってなんだろう

もう1つ伝えたいのは、「大人ってなんだろう」ということです。3月11日に地震が起きて「自分が何とかする」と決め、3月14日から福島に物資を運ぶ日々が始まりました。その後3年間は3日に1回のペースで福島に通い続けました。その後5年間ほどは5日に1回ぐらいのペースで福島と東京を行き来していました。こうした活動を通じて被災地で出会った友達は、熊本地震や各地の水害地域でも顔を合わせ、能登でもまた会うことができました。どこで災害が起きても、みんなすぐに駆けつけ、自分がやるべきことをしている。こういう人たちと、ずっと一緒にいたいと思うんです。

被災した皆さんと話すと、必ず「誰かのせいにしてもしょうがない。自分たちでなんとかするんだ」とおっしゃいます。そんなふうに自発的に動いている方にたくさん出会います。一方で、インターネットには事情をよく知らないのにあれこれ言う人たちが多い。口ばかりで行動しない人たちばかりです。そんなにいろいろ言うなら、自分で何かやればいいのにと思います。

もしここに「自分は大人だ」と思う人がいるなら、自分でなんとかしませんか?

子どもは、大人たちが作ったルールや社会に従って生きるしかありません。だから文句を言う権利はある。でも、大人は違う。子ども時代の自分が今の自分を見たときに「お前、何やってんだよ…」と思われるようなことだけはしたくありません。

東京から3時間でいける福島県の双葉町には、まだ入れないところがたくさんあります。311の直後、とある現地の人に言われました。「あれは、おめたち東京もんの電気をつくってんだぞ」って。自分は原発の反対運動していたので、そう主張したかった。だけど、運動をしているだけで原発を停められなかったのは事実。自分には責任があると感じました。だから謝りました。

世の中には「CANDLE JUNEは良い人だ、善人だ」なんて言ってくれる人がいますが、そんなことないんです。そんな立派な人間ではありません。ただ、自分がやりたいし、やるべきだと思っているから、やっているんです。

ボランティアに「行く」という選択を

すべての行動は、選択だと思います。今日、自分がここで話をさせてもらっていることは、自分の選択です。本当は朝から福島に行く予定をしていたんですが、この話が終わってから行けばいいやと選択して、ここに来ました。みなさんも何かしらの選択の末に、ここにいる。どんな理由があるかわからないけど、選択が重なり、たまたまここで僕の話を聞いてくれています。CANDLE JUNEという一人の人間の小さなストーリーを聞いた結果、子どもの頃の自分に見られたときに、恥ずかしくないおとなになっているかなって、考えてみてもらえたらうれしいです。

その上で、被災地支援に行ってみよう、能登に行ってみようと思ったら、ぜひ隣にあるブースに来てください。能登は全然支援が足りないんです。すでにご存知かもしれませんが、本当に足りない。能登人たちは「してもらう」よりも「したい」という人たちが多く、遠慮しがちなんですよ。だからこそ改めて、一緒にボランティアに行きましょうとここでお願いしたい。

ここまで聞いてくださってありがとうございました。CANDLE JUNEでした。


ボランティアに行ってみたいと思ったら、ぜひこちらの記事をチェック!

https://www.earth-garden.jp/goodlife/79752/