フジロックや朝霧ジャムのオフィシャルカメラマンをつとめる宇宙大使☆スターさん。陽気な格好にカメラをいっぱいぶら下げてフェスを歩くその姿を、見たことがある人も多いのではないでしょうか?フェスが大好きだからこそ撮れる、とびきりの笑顔、美しさ、高揚感。スターさんの写真を見ると、フェスにいる自分にトリップできるようなリアリティを感じます。
国内の大きいフェスから小さいフェスまで様々なフェスを体験し、海外フェスの経験も豊富なスターさんが考える、フェスってなんだろうを、インタビューです。
インタビューの最後に、スターさんが立ち上げた熊本県阿蘇郡西原村の地震被災支援プログラムのお知らせもあります。
思いがけないところに転がっている、新しい出会い
「フェスに行く第一の目的は音楽だと思うけど、音楽だけならライブにいけばいいですよね。この間、フジロックを主催するSMASHの代表 日高さんのインタビューの撮影があって、そのときに日高さんが言っていて、僕もそうだなって思ったのが、目的のアーティストを見に行こうとするんだけど、途中で通った知らないバンドのライブがすごく良くて、結局それを見ちゃって、目的のバンドまでたどり着かなかった。そういう新しい音楽との出会いがフェスのいいところなんじゃないかなって。
自分の好きなジャンルだけじゃなくて、他のジャンル、アーティストとの出会い、発見や気づきあるんですよね。音楽の新しい楽しみ方をフェスが作ったような気がします。」
こういう経験、フェス好きなら誰しもがあるのではないでしょうか。きっと、主催者は考えているんですよ。こっちのステージからあっちのステージにみんなが移動するだろうから、その間のこのステージにこのライブをぶつけようとか、ニヤニヤしながら(笑)。
「随分前のライジングサンロックフェスティバルでのことです。夜、森の中から、ミラーボールの光がピカピカしていて、なんだろうと思って入ったら、森のなかにキャンドルがいっぱいあった。マップに載っていなかったCandle JUNEさんのエリアだったんです。偶然発見した人しか入ってこないような場所だから、5人くらいしかいなかったと思うんですけど、ハナレグミのライブが始まったりして。とても贅沢な時間でした。」
いたるところに仕掛けを置いて、発見した人を楽しませるてくれるフェス。遊び心が大事ですね。
フェスの始まり
さて、ちょっと気になったのは、スターさんにとってのフェスの始まりはどこなのか、ということ。お客さんとは、ちょっと違う見え方があるかもしれません。
「始まりは段階的に感じるかなぁ。フジロックで言えば、年末くらいに次の年の開催が発表されて、渋谷パルコの岩盤での早割チケット発売があって、もちろんアーティスト発表の度に楽しみになる。あとは、会場に向かう道中では、三国峠を車で超えるといよいよだなぁって。
前夜祭が始まると、あぁ、終わっちゃうって気持ちが強くなる。始まっちゃうから、終わっちゃう。だから、前夜祭の前にお客さんがテントを建てている時間が一番幸せかもしれない。期間中はもちろんすごく幸せなんだけど、あの時間がすごく好きなんです。3連休前の金曜日の夕方5時くらいっていうか(笑)。」
ウェルカム・ホーム!!
テントといえば、キャンプもフェスにおける重要な要素ですよね。
「キャンプしていると、隣の人と仲良くなったり、助けあったりするでしょう。そういう場にいるのが、とても気持ちがいい。たぶん、日常生活の忙しさで、人に優しくできなかったり、逆に優しくしてもらえなかったり、そうすると、また人に優しくできない。そういう悪循環があると思うんです。でも、フェスに来て、キャンプしながら何日か過ごして『人間ってこんなにあたたかくて優しいんだ』って、再確認して、また日常に戻る。フェスから帰った日の翌日は、人に優しくできる気がします。
基本的には怒りたくないじゃないですか。優しくされることが一番うれしいと思う。そんな忘れかけていたことを思い出して、もう1年頑張って、また来年会いましょうって。そんな場所なんじゃないかと思います。」
隣の人に塩コショウを借りたり、ペグが取れていたらちょっと直してあげたり。なぜか優しくできるあの雰囲気はいったいどこからくるのでしょう?
「主催者側がお客さんになんでもやってあげ過ぎちゃうと、なかなかそうはならないと思うんです。不便なフェスほど、みんなで助けあう。いいフェスはそういうところが共通している気がします。
何もない砂漠に、1週間だけ街をつくるアメリカのフェス『バーニングマン』に行った時もそれを感じて。はじめてバーニングマンに行った時に、いきなりハグされて『ウェルカム・ホーム!』って言われたんです。最初はその意味がよくわからなかった。
でも、水もないし、砂埃がひどいのに、お風呂もない。そんなところで一週間過ごすんです。環境が過酷だからこそ、人に優しくなれるっていうか。優しくすると優しくされて、それに感謝して。その空気がフェス全体に広がる。だからこそ『また、あの場所に帰りたい』って気持ちになった。最初に言われた『ウェルカム・ホーム!』を実感します。だから、今度行った時は、僕も『ウェルカム・ホーム!』ってハグするんじゃないかな。」
『ここが自分の居場所だ』って感覚、すごく分かります。非日常なのに、自分の感覚にフィットする不思議さ。楽しいだけでなく、安心するんですよね。毎年帰ってくる自分の居場所。あぁ、フェスティバルってステキだなぁ。
宇宙大使☆スターが住む熊本県阿蘇郡西原村の支援プログラム
僕がいま住んでいる熊本県阿蘇郡西原村。6割以上の家屋が全半壊してしまいました。避難生活をしている僕らが、避難生活をおくる西原村の人たちにダイレクトに届けられるよう、その時のニーズにあった支援を、そんなイメージでこの口座を作りました。また西原村にニコニコ笑って過ごせるいつもの日常がやってきますよ!!