earth garden“冬” 2023の大鍋企画をご紹介します!
それは、都内4店舗のラーメン店、製麺工場、さらに台湾3店舗の人気ラーメン店を経営する「五ノ神製作所」のオーナー伊藤真啓さんが自ら作る<~奥江戸~シャモと柚子塩白菜鍋>です。
「五ノ神製作所」は、鯛出汁の青梅店を本店として、エビ出汁の新宿店、鮮魚出汁の神田店、そして、アースガーデン第二拠点のあきる野市にもお店があり煮干し出汁をメインに展開。どの麺も出汁の旨味が素晴らしくて、こだわりの自社製麺も相まって、何を食べても美味しい。この夏には、日清の「つけ麺の達人」シリーズで、伊藤さん監修で「海老魚介醤油」が販売されたほどです。
https://gonokamiseisakusho.com
そんな伊藤さんが作る大鍋の材料は全て西多摩地域のものを使います。あきる野産の柚子と白菜。普段たべる機会が滅多にないシャモ肉は、この地域で古くから続く養鶏場さんが育てられるシャモをメインに使います。ちなみに、大鍋の名称に~奥江戸~とありますが、伊藤さんは今お住まいのあきる野市のお隣、日の出町のご出身で、シャモだけでなくこの西多摩地域の歴史や文化からこの地域を「奥江戸」と総称されています。
どんな出汁が堪能できるのかと、今から楽しみです。
「五ノ神製作所」のラーメン出汁の秘密
そんな伊藤さんですが、普段お会いしても瞳が好奇心いっぱいで、自由で面白いことに敏感な方。そして、イベントで出店される時には、真っ赤な小型の消防車で作ったキッチンカーに乗り、時に屋台を引き、ターバン型のニット帽を被って、普段から唯一無二の個性を放っています。
今回は、伊藤さんのラーメンとの出会いやこだわりについてお話を伺いました。
少量で栄養がつくものを!おばあちゃんの看病がきっかけで栄養士を目指す
「五ノ神製作所」の出汁のアイデアとなったのは、伊藤さんが高校時代スーパーでの鮮魚売り場でのバイトをしていた時のこと。毎日売り残りや期限切れで大量に魚が廃棄されるのを見て衝撃を受けたそうです。おばあちゃん子だった伊藤さんは、田舎で昔ながらの丁寧な暮らしをみて育ったので驚き、そして、後にこれがお金に変えられるのでは?という着想を得るきっかけとなります。またその頃に、おばあちゃんがご病気になり、看病のために少量で栄養がつく食べ物をと試行錯誤したのがきっかけで、専門学校で栄養士を目指すことにしたそうです。
東南アジアの旅で出会った、安くて美味しい屋台と麺
学生時代には、テレビで電波少年が大ブーム。バックパックで世界を旅する若者がたくさんいましたが、伊藤さんもインド旅行にいき、これまでの価値観とは全く違った世界を見て刺激を受けます。その後、栄養士として老人ホームへのお弁当などを作り、配達する会社で職に就くも、大火傷をし休職。治療し回復してきた頃に東南アジアを旅して、おいしくて安い屋台と麺に出会いました。
修行中、築地市場でまたもや魚が廃棄される光景を見る
その後転職し、障害者施設で栄養士として勤務しながら、給食で月1回でラーメンを出しはじめ人気メニューとなるのですが、栄養士という職業の範囲内でやれることに限界を感じ、もっと自由に美味しいものを作りたい!さらに、ラーメンならば、旅をしながら仕事もできるかも!?と、海外で売れる日本食としてもラーメンに魅力を感じ、転職。ラーメン店「渡なべ」で師匠につき修行。また、同時に築地市場を担当している宅配業者としてバイトをし、市場の人として仕事をする中で、市場で廃棄される魚に、また出会います。この放っておいたら捨てられてしまう魚との再開が、今の「五ノ神製作所」のラーメンスープの出汁として、アイデアが具体化していくことにつながります。贅沢な出汁作りの始まりはここから。また、高校のバイト時代の着想が形となった時ともいえます。
ご縁をつなげて店舗が増える。一店舗ごとの物語
そして、2007年に羽村市五ノ神4丁目で開業。「五ノ神製作所」の誕生です。その後、様々なご苦労をされながらもたくさんの人と手を取り合いながら地道に営業。特に、3.11の震災では、いわき市のつけ魚屋さんが埼玉に移住して営業再開された際に、銀ダラのアラを伊藤さんが買い取ったことで始まったのが、鮮魚出汁の神田店です。単純に4店舗都内で営業と聞いてすごいなと思っていたのですが、1店舗ごとに、物語があり、そうなるべくして流れに乗ってらっしゃったのだと感じました。もちろん、伊藤さんのパワーや、スタッフの皆さんの努力あってのことですが。
世界に種をまく
さらに海外進出。台湾では、伊藤さんが教えた生徒さんがお店を持つことになり、今では3店舗に。伊藤さんが教えてラーメン屋として起業した人が、今では世界の色々な国にいるそうです。また、伊藤さんご自身も出汁用の食材の買い付けのために、海外にも出向くのだとか。
今後はコロナが落ち着いたら、もっと海外に目を向けて、自分の撒いた種がどんな展開をしていくのか応援したいとのことで、これからのご活躍がますます楽しみです!
・・そんな伊藤さんの作る大鍋。題して<〜奥江戸〜シャモと柚子塩白菜鍋>を、earthgarden“冬”に、是非食べにきてください!
田川後記
「もったいない」とか「フードロス」、そういう言葉よりも前に、廃棄されてしまう美味しい物の魅力に惹かれ、丁寧に最後まで使い切るというおばあちゃんの生き様を引き継いだ伊藤さん。どんな食材でもラーメンにしたがる、楽しい伊藤さん。きっとこれからも、伊藤さんなりの大事にしたいことを基準に、好奇心を大切に、生きていかれるのだろうと思いました。今後とも、地元の魅力を発信していく仲間としても、アースガーデンをどうぞよろしくお願いします!