読者のみなさんは「Natural High!」に行かれたかな?今年はさらに進化したフェスになり、ライブもトークもワークショップも充実!数あるトークプログラムのなか、「旅」をテーマに対談したのは四角大輔さんとGAKU-MCさんだ。
四角さんは元レコード会社プロデューサーで執筆家、GAKUさんはご存知人気ラッパーということで、2人の共通点は「音楽」。また1970年生まれの「同い年」で、普段から仲がいいとのこと。そんな2人が、ここ4~5年で仕事の仕方も暮らし方もガラリと変えて、より「旅」にまつわる活動を行っているという。旅の本質にまで迫った対談のその内容とは!?
転機を迎えたあと始まった、それぞれの旅
GAKUさんが続けているキャンドルの旅は、東日本大震災をきっかけに始まったという。
「震災直後『ライブなんてやってる場合じゃない』という風潮のなか、ライブ活動を休止し、宮城県石巻市に入りました。泥かきや炊き出しなどのボランティアに関わっていくなか、半年ほどたって、ようやくミュージシャンとしてできることはないかと思っていたところ、キャンドルと出会ったんです。キャンピングカーに乗って日本一周しながら『東日本は今、こんな状況なんだよ』と伝えて、その励ましの言葉を集める運動を始めました。日本各地でライブに来た人にメッセージを書いてもらったキャンドルホルダーを集めていったんです。」
プロジェクト名は「アカリトライブ」。仲間4人で日本を一周して、集めた2万個のキャンドルを最終目的地の福島に届けたという。火が灯ったキャンドルで福島の地図を描き、ライブで飾ったGAKUさん。その後も「アカリトライブ」は毎年続き、昨年はミクロネシアの無人島でキャンドルを灯したそうだ。
「電気も水道もない、シンプルなところほど、何が人間必要なのか、とても考えさせられた」
とのこと。今年は、ネイティブインディアンの聖地、アメリカのセドナで計画しているという。
次に四角さん。かつてはレコード会社で15年勤務。アーティストプロデューサーとして数々のミュージシャンを世に売り出し、ミリオンヒットを7回叩き出した経験を持つ。GAKUさんと出会ったのは入社した直後の営業マン時代だったそうだ。
「でも僕は学生のときに、ニュージーランドに移住するって決めていたんです。理由はフライフィッシングという釣りが大好きで。それから移住するまで15回ニュージーランドに通いました。湖が大好き、自給自足がしたい、表現活動もしたい、と思っていたので『きれいな湖のほとり』『魚が釣れて野菜が作れる』『ネットが繋がる』を条件にニュージーランド中、湖がある町を全部チェックしました。」
条件が揃った場所は、国際空港から車で4時間、携帯も繋がらない、湖のほとりの森のなかだった。夜明けとともにヨガをして、釣りやアウトドアスポーツを楽しみ、夜は満天の星。食べ物は釣った魚、畑の野菜や森のなかの山菜。想像していた以上に素晴らしい生活が待っていたという。収入は新聞・雑誌連載や本の執筆、企業アドバイザーなどネットでできる仕事が大半で、その他、アウトドア雑誌ロケや講演会、大学非常勤講師など。年に3~5回、日本とニュージーランドを往復しているそうだ。
旅で大事にしていること
「音楽」を通して出会った2人が、それぞれ今歩んでいる「旅のカタチ」は違うが、共通していたのは「どこに行く」よりも「何のために行く」というテーマ性のある旅だということ。
GAKUさんはキャンドルの旅のほかに、趣味であるサッカーを通じて、世界16カ国ほどのミュージシャンが国別に試合するという企画に参加している。昨年はロシアで開催され、各国のチームと対戦したあとはライブをやるなど、まさにGAKUさんらしい旅だったようだ。交流を深めていくなかで
「世界の良いところを知るのと同時に、自分の居場所の良いところも悪いところも鏡のようにみせてくれるところがいい」
と話す。四角さんは釣りや登山などアウトドアの旅が主体。最近は環境やデザインに配慮した、パーマカルチャーの農園をまわる旅も精力的に行っているという。
「自分のルーツに繋がっているテーマで旅をすると、より目的地に深く入れるんですよね」
と話す四角さん。
さらに話にあがったのが「いかに必要なモノだけを選ぶか」ということ。GAKUさんはメンバーと一緒に車で行くため、四角さんはバックパック一つで山に行くため、それぞれ厳選して旅の荷物を選ぶという「旅は日常のライフスタイルをシンプルにするためのトレーニング」と位置づける四角さん。また一人旅の時間をつくることで、頭のなかも整理できて思考がシンプルになるとも
「旅って、モノだけじゃなくて、自分自身のなかのアイデンティティさえも整理できる行為だと思っているんです」
と四角さんは締めくくった。
充実した「旅」をして、いかに「生活」にフィードバックできるか。もしくは「旅」のような刺激のある「生活」にしてしまうか。旅に出ることで、自分の人生で求められていることの、内なる答えがみえてくるのかもしれない。
人生に迷っているキミは旅にでよう!!