こんにちは。青年海外協力隊員として現在西アフリカに位置するセネガル共和国、首都ダカールより200キロ程北東にある都市ルーガ市にて活動を行っている山口織枝です。第2回目である今回は、こちらでよく見られる挨拶のやりとりのことを。
セネガルの挨拶は、ちょっと特徴的です。
イスラム教徒が、全人口の9割を超えていると言われるセネガルでは、日本語の「こんにちは。」にあたる言葉は、他のイスラム教国でも使われる、「アッサラーム マレークム」というアラビア語が使われています。これを言われた相手は、「マレークム サラーム」と返します。
たとえば、日本であったら、朝人に会ったら、「おはようございます。」と挨拶しますよね。昼だったら「こんにちは。」、夜だったら「こんばんは。」と言い、言われた相手は同じように返す、というのが一般的だと思います。それから、何か仕事中や活動中、あるいは、それが終わったとき等には「お疲れさまです。」と言う場合もありますよね。
いずれにしても、挨拶はすっきりとしていて、割とシンプルなものだと思います。
どこの国に行っても、その土地にとって固有の挨拶というものはあると思いますが、セネガルで多くの人が話しているウォロフ語では、沢山の挨拶のパターンがあります。そして、それがもう会話であるかのように、結構、長いのです。たとえば、このような感じです。
「アッサラーム マレークム」
「マレークム サラーム」
「ナンガ デフ?(元気ですか?)」
「マンギ フィー(元気です)」
「ヤンギチ ジャム?(あなたは平和の内にいますか?)」
「ジャム レック アルハンドゥリラー(平和のみです、神に感謝します。)」
「サバ?(旧宗主国の言葉、フランス語から。元気ですか?)」
「サバ ビアン(元気です。)」
「ナカ ワークルギ?(家族は元気ですか?)」
「ニュンギ フィー(あるいはニュンガ ファー)(元気です。)」
「ナカ スバシ?(朝はいかがですか?)」
「サンテ ヤッラ(神に感謝します。)」
「ナカ リゲーイビ?(仕事はどうですか?)」
「ムンギ ドフ(回っていますよ。)」
「ナカ タンガイビ?(暑さはどうですか?)」
「タングナ トロップ(とても)/トゥティ(少し)(暑いですね。)」
人に会ってお話を始めるときに、まずさーっとこんな風なやりとりを全てする、ということは、珍しくありません。また、ここに書かれているパターンだけではなく、聞き方も答え方も、多様にあります。
たとえば、しばらく会っていなかった人と会ったときには、「ナモナーラ(会いたかった。)」「マーラーラオ(私も。)」と、言ったりします。そして、朝ではなく夕方に人に会ったら、「ナカ ンゴーンギ?(夕方はいかがですか?)」、夜、人に会ったら「ナカ グッディギ?(夜はいかがですか?)」と、聞き方も変わります。
天気についても、雨の降る雨季(セネガルには大きく分けて雨季と乾季というふたつの季節があり、乾季には雨が降ることはほとんどないそうです。)には「ナカ タオビ?(雨はいかがですか。)」、風が沢山吹くときには「ナカ ンゲロウリ?(風はいかがですか?)」という風に聞いたりします。
このような長い挨拶、習慣となっているセネガルの人たちは、とてもスラスラとリズムに乗って喋ります。私は、もともとあまり早口な方でないこともあり、なかなかリズムに乗り切れてない、と感じてしまったりします。
セネガルの人たちの挨拶を見ていると、ちょっと音楽のような、ラップのような感じにも思えるのです。(文章ではなかなか伝わらないものがあるかもしれませんが…!)私もそんな風に流れるように挨拶できるようになりたいなあ、と思うので、いつも心構えをしておこう!と思います。
人に会ったときには、必ず挨拶をする。
誰かと話していて、その人の親戚、友だちなど、他の誰かが来たら、「挨拶して。」と言われたりします。挨拶がとても大切にされているのを感じる、セネガル社会です。
参考文献:Jean-Léopold Diouf (2003) , ‘Dictionnaire wolof-français et français-wolof’ , KARTHALA.