【コラム|感じるために生きている】一緒に山越え谷越えしたい

『生まれる・育てる』というテーマをもらったが、“生まれてきてもらった”“そして“育てている”私としては、最中過ぎてこんな短い文章では書けそうにない。

子どもが育つ気力が出なくなった時に、手助けすること

母親としては、莫大なエネルギーをかけて育ててきたつもりになっているが、それでも基本的には、生まれてきて“くれる”のだし、育って“くれる”ものだと思っている。(そして、出来の悪い親からうけた、何かしらの刷り込みやダメージも受けているはずだ。)

そのために、妊娠中は、生まれたい気持ちをそがないように、体調に気を付けるのだ。そして、子育ては、育つ気力を損なわないように世話をする。本当に必要なのは、子どもが育つ気力が出なくなった時に、手助けすることなのだと思う。

「もう、イヤだ。」って子どもが落ち込んだときに、親ができることは、「生まれてきてくれて、ありがとう。」「あなたは、生きているだけで、すばらしい。」って、教えてあげることだと思う。方法は様々だけど、それ以外に、やれることなどあるのだろうか?

「生まれてきてくれて、ありがとう。」

「生まれてきてくれて、ありがとう。」

そう思っていることを忘れちゃっている人は、まずは思い出すのが大事だ。掘り起こして、水できれいにあらって、オヒサマと風にあてる。思い出して、良く見える所において、たまに磨いていれば、それだけで、その親子は、色々あっても安泰だと思う。

去年 Natural High! 当日に会場で産まれた雄の「さつき」です。今は 1 才になり、埼玉で暮らしているそうです。
去年Natural High!当日に会場で産まれた雄の「さつき」です。今は1才になり、埼玉で暮らしているそうです。

そして、そう言ってもらえない子どもたちには、親の変わりに、見守ってくれる存在が必要だ。

公共の支えだけでなく、そのために様々な活動をしている団体があるが、私の知人の尾角光美(おかく・てるみ)さんが代表をしている『リヴオン』という団体の活動が大好きだ。『リヴオン』は、尾角さんが19歳の時にお母様を自殺で亡くしたのをきっかけにあしなが活動を経て「いつ、どこで、どのような形で大切な人を亡くしても、その人が必要とするサポートを確実に得られる社会の実現」を目指して立ち上げられた社団法人だ。

知るほどに、大事な人を亡くした当人にしか分からない、悲しみや苦しみがあるのだと感じている。私は仮にも生きている親なのだから、出来れば、おっちょこちょいだけど、自分の人生を楽しんでいる大人として、一緒に山越え谷越えしたいと思う。

「やってやったぜ!」と言って死ねる人生

「生まれてきてくれて、ありがとう。」

これはベタベタな言葉ではあるが、大人になっても、いよいよ追い込まれたときにはきっと、大事な人に言ってもらったら心の支えになってくれる言葉だと思う。

私は、「やってやった!」と言って一日を終え、死ぬときには、人からみてたいした人生でなくてもいいから「やってやったぜ!」と、自分を褒めて死ねるような生き方をしたい。子どもたちに対しても、何って目標があるとか立派な事をしてほしいとかはないけど、プスッ・と止まっちゃう間際に、「やってやったぜ!」と言って死ねる人生だといいな~と、そんな事を期待しちゃっている。

さて、私の親は80代で健在だが、きっとこんな風に、ああだこうだとヤキモキして子育てしてくれただろうと、本当に感謝している。「あなたが選んだのなら、それが一番いい。」そんな風に育ててもらったのだから、そうやって育てるのが親への恩返しだと思うと、ちょっと背筋が伸びる。そこだけはシャンとして、山越え谷越え、もう息子の方が大きいから、たまには甘えて手をひいてもらって、愉快に暮らしていきたいと思っている。