助け合う心のつながりが、社会の循環となる【コラム|感じるために生きている】

自立とは「依存先を増やすこと」。これは医師の熊谷晋一郎さんの言葉です。熊谷さんは、新生児仮死の後遺症で脳性麻痺となり、車椅子生活をおくっています。母親など人の助けがなければ生きて来られなかった方の実感から発せられた言葉に、私も様々な事へ想いが広がり衝撃を受けました。

熊谷さんは親が死んでしまったら自分も生きていけなくなるのではないか?という不安を幼い頃から抱えていたそうです。その後、東京の大学に入り一人暮らしをスタートしますが(それも私の感覚だとすごい事です)その暮らしから分かったことがありました。それが冒頭の言葉。友達や社会など、依存できる先を増やしていけば、自分は生きていける、自立できるんだということです。

地域ごとで持っているモノを差し出し合う

熊谷さんの言葉を知ったとき、私たちの暮らしについても、依存できる先を増やすことが自立や安心に繋がるんじゃないかと思いました。

2018年4月より環境省がインパクトのある「地域循環共生圏」という考え方をアピールしています。「地産地消」という言葉は定着しましたが、さらにその先、地域同士の循環を含めた動きです。都会、地方、それぞれにいい点があることを認め合うだけではなく、もっとそれぞれの「循環」にフォーカスしています。

イベントearth gardenでは、代々木公園という都心の公園でナチュラルなライフスタイルを応援するようなマーケットを展開してきました。あるとき、そこで出会った出店者さんの自然豊かな場所にある工房に出向き、ワークショップを企画したこともあります。都会暮らしの参加者は、田舎へと向かい、たくさんの自然に触れました。草木染めのための草木の採集もお手伝いして、人と自然が交わり「循環」がおこりました。

こんなエピソードもありました。都心に一人暮らしするスタッフは「何か大災害があったとりしたら、うち(西多摩地区の山の中の家です)に行くから」と言うのです。資源が豊富で、物理的な余裕もある山のほうが安心できるのは自然なことでしょう。

私たち一人ひとりに、こうやって心に想い描ける人の顔が、さまざまな地域にあることが理想なのかもしれません。

心の循環こそearth gardenの醍醐味

依存できる先は物理的な場所だけのことではありません。心についても同じことが言えます。心の問題こそ1人で抱えないのが大事だと思います。家庭や学校で上手くいかないときに、もっと別の選択肢を気軽に選んでいいのだという雰囲気とシステムを作るのが大切です。earth gardenへのボランティア参加のように、まるで生活に関係のない人の輪に飛び込んでみるのも一つの手です。

結局のところ、地域の循環は、システムでありながら、人の心の循環なのだと思います。その循環の中で、心に思い描ける海の町・都市・渓谷、里山の景色や、そしてそこに住む人たちの顔を心に思い描きながら、助け合って暮らせる。これは、とても幸せで安心できることだと思います。

あなたには、そういう人がいますか?そういう場所がありますか?

もしなければ、イベントearth gardenに来てください。様々な地域で開催しているフェスにも行くのもいいでしょう。あなたが人との出会いを楽しみに会場に行けば、あなたにとって唯一無二の出会いがあるかもしれません。

私たちは、そういう出会いの場、つまりコミュニティフェスを開催し、私たち自身も今後も変わらず人と出会い、繋がっていこうと思います。

あなたにとってのearth gardenが、心の安心と喜びに繋がるものでありますように。それを心から祈っています。そして、『感じるために生きている』連載を読んでくださっているあなたの心の安らぎに、私の書いていることが小さな応援でありますように。

アースガーデンの母が書くコラム「感じるために生きている」