電気を自給自足する!藤野電力の小田嶋電哲が語る「電気を作ることを通して、生まれる『何か』」

今、太陽光パネルの組立ワークショップで全国に引っ張りだこのチームがある。それが「藤野電力」だ。彼らの活動拠点となっている「牧郷ラボ」は閉校した小学校を再生した空間で、階段も含めてすべて木造。そしてここは、藤野で行われている芸術祭「ひかり祭り」の舞台でもある。

電気を作ることを通して、生まれる「何か」
藤野電力 小田嶋 電哲

小田嶋「藤野ではそもそも、トランジションタウン活動が盛んに行われていました。それはつまり、得体のしれない大きな存在に依存する生活からトランジション(移行)し、自分たちの力で生活をしていこうということです。そういった価値観をもつ人が多く住む藤野で、3.11以降の電力の自活というのは当然話題になります。電力に関しても自分たちでできることを、一歩ずつやっていこうということになりました。まずはみんなで集まって、話し合うところから藤野電力は始まりました。

それが実際に発電という形で動き始めたのが、ひかり祭りでの電力供給です。実際のところは誰もやる人がいなかったので、なんとなく僕がやり始めてしまっただけなんですけど。きっと機械に詳しい人に言わせたら、ここが違うとか、そこが危ないとか分かるんだろうけど、僕なりに精一杯やりながら、発見していく楽しみがあります。」

ん?もしかして、元々機械系のお仕事をなさっていたというわけではないのか?

小田嶋「そうですね。逆に僕はそういったことには疎い方でした。ハンダ付けなんて中学生以来でした。得意な人に茶化されつつ、教わりつつです。」

とても大きな挑戦に感じるが、ご本人は気負いせず楽しく活動を進めているようだ。

電気を通して、その人の何かが変わっていく

小田嶋「自分で電気を作る、貯める、使うを通して、その人に起こる「何か」が大事。電気を通して、自分の生活を見つめなおし、何かの変化を起こして欲しい。結局のところ、藤野電力もトランジション活動の一つなんです。ワークショップもね、なかなかうまく作業は進みません。慣れない作業ですし、勝手も分からない。どうやったらうまく行くのか自分で頭を使って考えて、壁を乗り越えていくわけです。その達成感はとても大きいですよね。

でも、帰った後、もう一つ大きな壁を乗り越えなければならない。自宅で作ったパネルをどう使うか。パネルは屋外なのに、電気を使うのは中ですから、窓閉めれないですよね。ここも知恵を使って、乗り越えてみて欲しいです(笑)」

自分でつくるということは、楽しいだけではない。産みの苦しみを味わい、時間も労力も使う。時には人から助けを借りて、解決していく。しかし、その経験から得られることは、目の前の事象に限ったことではない深い経験となる。

年内の土日はほとんどワークショップ依頼で埋まっているそうだ。まだ、参加者を募集しているワークショップもあるので、詳細は「藤野電力」ホームページをチェック。「自分でつくる」を体験する場として、ぜひ。