寒さが厳しくなる季節。スープとパンでホームレスの方々を暖める「スープキッチン」

寒くなってくるこの季節、人の優しさが特にあたたかく感じられるのは、私だけ?身も心も凍えがちな冬に、一緒に寒さを乗り越えよう、と、あたたかいスープや上着を持って路上に出かけていく人たちがいます。その一例として、国際NGO、YWCAの名古屋の取り組み「スープキッチン」を紹介します。

「スープキッチン」は2002年の冬、名古屋YWCAで講師をしていたメアリー先生が中心となり、近隣の路上生活者の方々にスープ、パン、衣類などを届けたのが活動の始まり。それ以来、秋も深まる10月中旬から、過酷な冬の寒さを乗り越え、6月までの期間に、温かいスープとパン、衣類、毛布などを。そして、衛生状態が悪化しがちな夏の間は、おにぎりや石鹸、下着を。そして、クリスマスには、ボランティアさんの手作り弁当、ケーキ、スープをプレゼント。季節によって異なるニーズに合わせて、毎週1回、心を込めてお届けしています。

来る日も来る日も、毎週金曜日は路上に出かけ、食事や衣類をお渡しすることを通して、人々と触れ合う。「スープキッチン」のあたたかい活動に引き寄せられ、2015年度だけでも、利用者数は1,535名にのぼりました。

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「スープキッチン」の活動に参加しているオーストラリア出身のメンバーは、こんな感想を述べています。

『私は昨年7月に日本に来ました。そして9月にスープキッチンに参加し、素敵な方たちと出会いました。オーストラリアから来た私にとって、日本の生活に慣れるのは、簡単ではありませんでしたが、スープキッチンのメンバーはとてもフレンドリーで、すぐに新しい家族ができたように感じました。調理の指示は日本語、コミュニケーションのほとんどはボディランゲージだったので、最初は大変でした。しかし、すぐに「ニホングリッシュ」も使い、ユーモアにあふれる楽しい雰囲気となりました。

ホームレスの方々に食べ物を配るのは、とても謙虚な行為だと思います。そして、通常目にすることのない日本社会の一部を知ることができました。メンバーは、ホームレスの方々の服に穴があいているのを見つけると、上着やズボンを持って行きます。これまでに出会ったどんな人よりも、思いやりのある方たちだと思います。皆さんの優しい心に触れ、私も自分の生き方を見つめなおすようになりました。

スープキッチンとそこに来る人たちのネットワークは、とても強いものです。しかし、その一方で他の地域のホームレスの方々はどうしているのだろうと思うこともあります。スープキッチンで過ごす金曜日の午後の2時間を、1週間のうち最も楽しみにしています。』

この取り組みで大切にされているのは、一人ひとりと向き合い、交わされる対話。その中で、ホッとできるような関係性がつくられます。いつもなら通り過ぎる人たちのところで、ちょっと立ち止まり、お互いがあたたかくなるような一歩を踏み出してみませんか!?

YWCAとは

YWCA(Young Women’s Christian Association)は、世界事務局をジュネーブにおく国際NGOで、国連の諮問機関です。1855年に英国で始まり、現在世界120あまりの国で、約2500万人の女性たちが活動しています。日本においては1905年の設立以来、100年以上にわたって、女性の社会参画を進め、人権や健康や環境が守られる平和な世界を実現するために、さまざまな社会貢献活動を展開しています。
http://www.ywca.or.jp/